概要
今年7回目を迎える「鬼池ひなの会」は、天草市五和町鬼池で開催されるひな祭りのイベントです。
今回お話を伺ったのは、実行委員長の野崎秀登(のざきひでと)さん。
1回目からだんだんと輪が広がっている「鬼池ひなの会」では、まず10月末から準備が始まります。1月に行われた総会では、まちづくり振興会の役員とボランティアでつくる実行委員会の方々が集まり、たくさんの新しい企画が出てきます。今年の新しい企画として、限定のスペシャルランチ「おひな御膳」を作られたそうです。
鬼池ひなの会について
7年前から始まった「鬼池ひなの会」。始まりのきっかけは、野崎さんがされている陶芸教室での一コマでした。戦中の物不足や貧しさから人形を飾ることができなかったお年寄りたちのために、そして、押入れの奥で眠っているであろうひな人形を飾って、見ながらみんなでお茶ができるように、そんな思いから「鬼池ひなの会」が始まりました。
今回のメイン会場は、4年前に廃校となった小学校です。メイン会場である場所以外でも、鬼池地区で合計9ヶ所の展示場でひな人形が飾られています。
地域の方々が持ち寄ったひな人形はもちろん、折紙や繭でできたひな人形も展示されています。また、天草の山で採れた竹を使った竹細工もあります。
これは鬼池ひなの会でしかみられない「軒先ひな」です。イベント開催時期には、軒先を貸してくださるおうちで野崎さんの陶芸教室で作られたひな人形が飾られています。この箱は、地元の木工所さんで出る木材の端材を使って作られているそうです。当初20作品だったものから、現在は90作品に!飾りつけは各家庭で自由に行われ、イベント期間中である2月中旬〜3月初旬には「軒先ひな」が道路に点々と並ぶひな人形の道ができています。
県外からも人づてに聞いて、来られる方がいらっしゃるそうです。実行委員会では、ほとんどが60代後半の方が中心となって活動されています。「今後もボランティアが手作りできる範囲で続けていきたい」と野崎さん。館内で流れるBGMも実は、大正琴サークルの皆さんの演奏なんだそうです。手作り感があって、地域のみなさんで自主的に催しているイベントなので、随所にあたたかみが感じられます。
会場での催しもの
会場では、毎週週替わりの様々なイベントが開催されているそうです。私たちが伺った時には、2階で絵本作家さんの展示、ぜんざいの振る舞い、陶芸ひなへの絵付け体験が行われていました。一つずつ紹介していきます!
市役所の山本さんに案内していただきました!
絵本作家 永田有実さん
天草の民話を題材とした絵本を作る永田有実さんは、長年印刷物のデザインの仕事をされていました。時期が過ぎると廃棄される大量の印刷物を見て『悲しい』という感情を抱えつつ、仕事を続けていたある日、歴史に関する冊子を作成する中で、ボロボロになりながらも何年も渡って使われている印刷物を見て、自分の仕事との扱いの違いに驚いたそうです。
それから、何年も大切にされるものを作る仕事をしたいと言う気持ちから絵本作家になったそうです。自分が連れて行きたい場所や後世に残していきたいものを絵本にすることで、「故郷を好きな気持ちは誰にも負けない」という気持ちを絵本を通して表現されています。
こちらの小さい絵本は、永田さんもお気に入りの絵本なのだそうです。小さくて、お土産にもちょうどよく、封筒にも入るサイズのため、エアメールで海外にも送ることができます。天草のことを多くの方に知ってもらうきっかけにもなる、とっても素敵なアイデアですね!
婦人会の皆さん手作りのぜんざい
最終日限定のとっても美味しいぜんざいをいただきました。
ふわふわとした食感でとっても美味しく、おかわりもいただきました!あいにくの雨で、肌寒い日でしたが、ぜんざいのおかげで体も心もぽっかぽかです。
陶芸ひな絵付け体験
お昼過ぎからは、陶芸をされている野崎さん指導のもと、陶ひな人形への絵付けをされていました。
ひと塗り、ひと塗り、丁寧に色が着けられていくひな人形。微笑んだ表情に、手書きならではの柔らかさが出ていますね。
会場を周ってみます!
では、実際にメイン会場である「鬼池地区コミュニティセンター」以外の場所もまわっていきます!どんなひな人形に出会えるのでしょうか。ワクワクしますね!
島鉄フェリー(鬼池港)
港の休憩所の一角にも色とりどりのひな人形が飾られていました。
池崎醤油醸造元
池崎醤油さんにも「鬼池ひなの会」の代名詞とも言える「軒先ひな」がありました。
「鬼池ひなの会」開催の時期には、本来の商売であるお醤油よりもひな人形がメインとなってしまうこともあるそうです(笑)気さくなご夫婦とのお話もとても楽しかったです(^^)
旧かぁちゃんの店
もともと「かぁちゃんの店」という食料品・お惣菜屋さんさんだったところが空き家になっていたそうで、そこを今年から会場にされたそうです。空き家だったので、まずは大掃除から。掃除も飾り付けも、当日のおもてなしもボランテイアの方が自主的にされているそうです。
驚くのは、どこへ行ってもおもてなしをしていただけること。五和町鬼池地区のみなさんのおもてなしの精神、見習いたいです!
光明寺
なんとお寺の中にも!静けさに包まれた中に、一際目を引くひな人形。どのひな人形も一つとして同じものはないため、人形の表情の違いがとても面白いですよ。
引坂地区
ここは、メイン会場からは少し離れていますが、非常にひな人形の数が多く圧倒されました。この先10年分のひな人形を見た気がします(笑)
どの会場でもお茶やお菓子などのおもてなしをいただきました。五和町鬼池地区の皆さんのおもてなしマインドには、とっても感激しました!まるで実家に帰ったような感じで、ゆったりと過ごしてしまいました。
まとめ
私も小さい頃は、お婆ちゃんが実家でひな人形を出していてくれましたが、大きくなるとやっぱりしまってあるところから出すのも一苦労・・・。そんな家庭は、私の実家に限らず多いんじゃないかなと思います。そのようなひな人形を再び、陽のあたる場所へ出して、さらにそこに来る人々が交流でき、次の世代にひな祭りを継承していく、とっても素晴らしい連鎖だと感じました。
実際、ひな人形を飾り付ける時には、地元のボランティアの方が集まってされるそうで、人形の配置を話しながら世間話をしたりするため、交流のきっかけともなっています。
人口の約半数以上が65歳以上、そして戦後の貧しさ故にひな人形を飾る機会のなかったおばぁちゃんたちの楽しむ場、そして、次の世代、子どもたちも楽しめるようなワークショップやおぜんざい会なども開催されています。道ゆく人に挨拶しながら、ひな人形が飾ってあるお家を周り、そこでおもてなしを受ける。なんとも五和町鬼池の皆さんのあたたかさを感じることができる素敵なイベントでした。
また新しい天草の素敵なところを知ることができました!これからもたくさんお伝えしていきます★
平30年3月4日現在
※第7回鬼池ひなの会の記事です。
今年のイベントは終了しました。
来年度は、内容が変わる可能性があります。
お越しの際は、事前に確認をお願いします。
取材日:平成30年3月3日
再編集日:平成30年3月9日
先日は取材に来ていただきありがとうございました。3月4日に無事会期を終えることが出来ました。反省会や会期中の会話で、「来年はこういう風にしよう」というアイデアが沢山出て、もう次回のことで盛り上がっています。スタッフは高齢者ですが気分は青年団です。
10年分見てしまったかもしれませんが、よかったら来年もお越しください。
FBにリンクを貼らせていただきました。ドミニカの友人たちにも紹介しましたのでいろんな反響が返ってくるかと思います。
本当にありがとうございました。
Amazing and beautiful event!
Thank you to take the time to show us this beautiful comunitty and Hinas doll
Congratulation to all the comunity in Amakusa and for sensei Nozaki
This article was a delicious tour! Arigato from Spain!
🙂